反転狙いではなく、強いトレンドに乗る手法を開発する必要性があると考えました。 きっかけは、2006年8月後半のキウィ円です(図1)。
図1 キウィ円2006年9月1日
チャネル上端での反転を予想していましたが、あっさりと上にブレイク。これまでの反転を狙うわたしのシステム(MACDヒストグラム)ではエントリーできません。
しかし、このような強いトレンドをみすみす見逃すという手もありません。
しかし、単純に5営業日高値ブレイク、20営業日高値ブレイクを狙うという手法では、あまり勝率が良くありません。
ヒントは、投資苑2(七仙堂推薦図書)にありました。
そこには、移動平均線上方の高値で買うことは「私はバカだ。しかし、この先もっと高く支払ってくれるさらなるバカに出会うことを期待している」ということである、と述べています。
つまり、移動平均線にタッチしたところでエントリーし、乖離が大きくなったところで決済というトレードを推奨しています。
では、 その逆に、自分が「さらなるバカ」になった場合、どの程度の勝率(負け率?)となるのかも気になるところです。
「さらなるバカ」が自分の後にもたくさんいるのならそれの上前をはねることも可能です。
この「さらなるバカ理論」の勝率を検証してみます。
[トレーディング条件]
・エントリー条件 : 移動平均線(12日)から2%上方に価格が乖離したらロングエントリー。ただし、トレンドの初期を狙うとするため、乖離が2%以内に戻って以降10営業日内は、次のエントリーは行わないとする。
・判定 : エントリー後、当日を含む3営業日内に投入元本の10%ドローダウンとなるポイントにて損切り。0.50円以上の益が発生したら勝ち。それ以外は引き分け。
狼のように吠えろトレード(別名「さらなるバカ理論トレード」) |
[検証対象期間 : 2001年6月18日〜2006年7月28日(1259営業日)−キウィ/円(NZDYEN)]
総トレード数 |
26
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勝ちトレード数 |
18 |
引き分け数 |
3
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勝率(勝ちトレード数/(総トレード数-引き分け数)) |
65.22% |
累積実現利益 |
11.84
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最大連続負け回数 |
3回 |
最大ドローダウン |
-0.81 |
勝ちトレード(引き分け含む)における平均利益(3日間) |
1.17 |
負けトレードにおける平均損失(3日間) |
-0.70 |
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[解説]
かなり良い勝率です。これでもかなり実戦にも使えるようです。
「さらなるバカ」どころか、見逃すほうが「バカ」のような気がします。
しかし、エントリーのポイントをそれぞれ検証してみると、もう1日程度早くエントリーできていれば、勝率が高まるということに気がつきました。
そこで、条件を以下のように変更しました。
[トレーディング条件(変更点)]
・エントリー条件 : 価格乖離の基準となる線を終値の移動平均線(12日)ではなく、安値の移動平均線(12日)とする。
狼のように吠えろトレード(別名「さらなるバカ理論トレード」) − advance! |
[検証対象期間 : 2001年6月18日〜2006年7月28日(1259営業日)−キウィ/円(NZDYEN)]
総トレード数 |
34
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勝ちトレード数 |
24 |
引き分け数 |
1
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勝率(勝ちトレード数/(総トレード数-引き分け数)) |
72.73% |
累積実現利益 |
21.80
|
最大連続負け回数 |
3回 |
最大ドローダウン |
-0.73 |
勝ちトレード(引き分け含む)における平均利益(3日間) |
1.15 |
負けトレードにおける平均損失(3日間) |
-0.63 |
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[解説]
明らかに勝率が高まりました。
よほど「バカ」がたくさんいるということでしょうか?先述の投資苑2でも「オオカミと一緒に暮らしているのなら、オオカミのように吠えることだ」(オオカミは一匹が吠え始めると皆が一斉に吠える、ということでしょうか?)と述べられています。素直にエントリーしてしまうことが得策のようです。
ここでは、このトレードを「狼のように吠えろトレード」と名付けます。(別名は「さらなるバカ理論トレード」)
もちろん、このような高値に向かってエントリーするからには、リスク管理(キツメの逆指値)を忘れないようにすることも重要です。
また、ここでは、基準から2%の乖離としましたが、これは最適化の余地はあるようです。
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